知られざる地元の名泉

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別府温泉 紙屋温泉

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共同湯組合長の河村健一さんと入口前で撮影

大分県別府市千代町にある「別府温泉 紙屋温泉」を訪問しました。こちらの温泉は江戸時代からある温泉で、組合長の健一さんのお祖父様の時代に一般にも開放されたそうです。印刷技術が発展し、周辺の紙屋さんが脚光を浴びていた時代だったことが名前の由来になっているんだとか。

入口を入ってすぐのところに番台があります。

脱衣所にはシンプルなロッカーが置かれています。

浴室は静かで落ち着いた佇まいです。建一さんによれば、初めて入られた方は皆さん、「ここはいいなあ~」とおっしゃるそうで、是非、温泉の良さがわかる方に入ってもらって違いを感じて欲しいということでした。このお湯、たしかに気持ちが良いです。上質です。

お湯は浴槽の底から注がれています。建物外の掲示にある明治41年の豊後温泉誌によれば、お湯の特徴は「臭気なく誠に清澄で微温である」とあり、今でも全く変わらぬクオリティを感じることができます。

湯量が豊富です。浴槽からは大量のお湯が溢れ出していました。

湯めぐりが好きでいらっしゃっていた幸男さん(左)と毎日いらっしゃる常連の倫義さん(右)です。冬でも湯冷めせず、「本当に本当にいい温泉!」と絶賛されていました。

また、こちらの温泉は飲用としても利用できます。建一さんによれば、昔から別府でも「飲める温泉」として有名で、関西汽船で大阪にも送られるほどだったそうです。

建物の外に大分屈指の歌人であった丸山待子さんがこちらの温泉を詠んだ歌が掲示されています。「寒朝を、温泉に足浸す母上の、七十にちかき齢を思う」、冬の寒い朝にお母様の体調を気遣いながら一緒に紙屋温泉にいらっしゃった、そのときの心情というのがしみじみと感じられて良いですね。丸山待子さんは建一さんのおば様にあたるそうで、建一さんの名付け親でもあるそうです。

共同湯の隣には公民館が設置されています。地元の共同湯ならではですね。別府ではこの温泉・公民館併設型のスタイルがスタンダードなんですね。

組合長の健一さんです。地元の放送局に勤めていた建一さんは、若い頃から「本当の別府の良さを出していくにはどうすべきか」ということに問題意識を持って活動をされていたそうで、「竹瓦路地裏散歩」「路地裏温泉巡り」といった地域再生運動を数々実行されてきたそうです。優しい眼差しで「本当の別府の良さ、というのをやらないといけないんや」「別府の地域にはまだまだ本物があるんや」と何度も何度も情熱的に語られている姿がとても印象的でした。

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温泉:別府温泉 紙屋温泉(べっぷおんせん・かみやおんせん)
住所:大分県別府市千代町11-27
電話番号:なし
所要時間(車):大分市中心部から21分、大分空港から45分
駐車場:4台
営業時間:13:00~23:00(11:30~12:30は貸切湯)
定休日:年中無休
入浴料:100円