山鹿温泉 さくら湯

山鹿温泉 さくら湯

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さくら湯入口で山鹿美人の尚子さん・待子さんと撮影

熊本県山鹿市山鹿にある「山鹿温泉 さくら湯」を訪問しました。立派な唐破風玄関ですね。施設を管理されている朝倉秀彦さんにお話を伺うことができました。曰く、さくら湯は江戸期に藩主細川家の御茶屋(参勤交代などで豊前街道を通る際の休息所)として作られた由緒ある浴場で、昭和48年の大規模再開発時に一度解体されますが、平成に入って市民中心のプロジェクトチームが発足し、平成24年に町のシンボルとして今の形で復活したそうです。

さくら湯には南北に2つの玄関があります。こちらは南側の玄関です。昔はお客さんが住んでいる場所によって南北それぞれの玄関を使い分けていたそうです。現在は北側の玄関は土日のみ開いています。

中に入ると受付で山鹿美人の尚子さんと待子さんが笑顔で迎えてくれます。お二方とも優しい柔らかいお人柄でした。ちなみに待子さんはしばらく怪我をされていて、この日が久しぶりのご出勤だったとのこと。お会い出来てラッキーでした。

脱衣所です。脱衣所も浴場を挟んで2つあります。鍵付きロッカーもあるので、貴重品も安心ですね。

浴場は木材と石による重厚感のある作りです。道後温泉の棟梁・坂本又八郎を招いて行った明治31年の大改修時の作りを再現しています。浴槽がかなり大きく、なんと広さは20畳ほどもあるそうです。現代風にアレンジされた広告看板も目を引きますね。ちなみに「さくら湯」という名称は明治期までの「松の湯(一等)」「紅葉湯(二等)」「さくら湯(三等)」から来ています。「さくら湯」は市民のためのお風呂なんですね。

温泉の湧出口です。浴槽の底から自噴していた当時を再現しています。浴槽が大きいので、掛け流しされている湯量も相当なものです。毎分500-600Lもあるとか。泉質はアルカリ性単純温泉でツルツル度が高く、肌触りが気持ちいいです。

大牟田からよくいらっしゃるという輝義さんです。山鹿に水を汲みに来た際には、さくら湯に必ず立ち寄るそうです。この笑顔!気持ちよさそうでいいですね。しかも、この日は平日のお昼で貸切状態。最高に贅沢です(笑)。

さくら湯には入浴者向けの休憩室もあります。

さて、山鹿といえば「山鹿灯籠まつり」です。毎年8月に行われ、和紙と糊で作られた金灯籠を頭に載せた女性が市内を踊り歩く風景が有名ですが、さくら湯からほど近い大宮神社に各町が作成した灯籠を奉納する「奉納灯籠」という神事があり、これが必見だそうです。

境内の燈籠殿には今年の8月に奉納された灯籠がライトアップされて展示されています。金灯籠だけでなく、宮造り灯籠、座敷作り灯籠、人形灯籠といった種類の灯籠を見ることができます。非常に精巧な作りです。ちなみに今のさくら湯は解体前の昭和49年に灯籠の形で作成されていたものを元に復元されていて、その灯籠がなければさくら湯の復活もなかったと言われているそうです。素晴らしい技術ですね。

こちらは灯籠民芸館です。館内で歴代の名作灯籠を見ることができます。

また、民芸館の奥では灯籠師の方の制作風景も見ることができます。こちらは灯籠を制作し始めて8年という中村さん。細かい作業を鋭い眼差しで行う姿が印象的でした。眼力あります。

こちらもさくら湯にほど近い八千代座です。明治44年に建築された劇場で、当時はこういった劇場が日本中に数百箇所もあったそうですが、現在は八千代座を含めて6箇所しかないんだとか。こちらもさくら湯同様、昭和40年代後半に閉館し、老朽化が進んだものの、市民を中心に復活の動きがわき起こり、大修理を経て、平成13年に復活したそうです。歴史を大切にされている山鹿市民のみなさん、素晴らしいですね。

八千代座の内部です。天井広告は一見の価値ありです。

八千代座では能や歌舞伎に加えて、コンサートなど様々なイベントが開催されています。この日は山鹿灯籠踊りを見ることができました。暗がりの中で光る灯籠、雰囲気ありますね。大宮神社の禰宜の健文さんに伺ったのですが、元々、灯籠の起源は第12代の景行天皇が九州巡行中に菊池川から山鹿に至った際、一面に濃霧が立ち込めて進路を阻まれ、目印として山鹿の住人が松明を焚いてお迎えしたことにあるそうです。景行天皇は1,2世紀の方(諸説あり)だそうなのでかなり古い話ですね。「山鹿の歴史は温泉と灯籠。さくら湯は歴史ある温泉で周囲の期待も大きいので、それに恥じない運営をしていきたい」とおっしゃる秀彦さん。静かな闘志を感じました。このエリア、歴史が面白い上に人が熱いです。おすすめです。

 

温泉:山鹿温泉 さくら湯(やまがおんせん・さくらゆ)
住所:熊本県山鹿市山鹿1-1
電話番号:0968-43-3326
所要時間(車):熊本市中心部から49分、熊本空港から42分
駐車場:約200台
営業時間:06:00~24:00
定休日:毎月第3水曜日
入浴料:300円

平山温泉 やまと旅館

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