「ジ温泉カタログ写真展」展示作品紹介（前編）
皆さんこんにちは。知念です。6月1日から開催している「ジ温泉カタログ写真展」では「温泉×写真×アート」をテーマに別府市内にある温泉施設7か所および清島アパートを展示会場としおり、それぞれの会場で清島アパートのアーティストの方々が今回の写真展用に制作してくれた作品を展示しています！
各施設で展示されている作品を2回の記事に渡ってご紹介しようと思います！それぞれのジャンルでとても面白い作品を展示しています！
1．寿温泉「ヤショダラの沐浴の池」（担当：安部寿紗さん）
まずご紹介するのは寿温泉の展示風景です。展示場所は寿温泉の2階にある公民館となります。とても風通しが良くて涼しい空間に、温泉の写真と安部寿紗さんの作品が展示されています。
安部寿紗さんの「ヤショダラの沐浴の池」という作品は、磯崎憲一朗著のブッダにまつわる小説「肝心の子供」の一節を表現したものになります。ヤショダラがブッダに嫁いで来て間もない、とても寂しい思いをしてる時に、王宮内の沐浴の池に生家から持ってきた稲を植えるシーンがあり、それを「糞掃衣（ふんぞうえ）」で表現されています。また「床しえ」と名付けられた冊子が置かれており、そこには安部さんが寿温泉で聞いた不思議な話や面白い話をまとめたられています。また、この「ヤショダラの沐浴の池」の形はこの作品の近くにある「もの」が参考になっています。知りたい方は一度寿温泉にご入浴を！
2. 茶房たかさき「ただ、地を掘り起こす」（担当：旅する服屋さんメイドインさん）
続いてご紹介するのは茶房たかさきの展示風景です。こちらでは茶房たかさきの奥様の絞り染の作品の展示空間や喫茶室の落ち着く空間に温泉写真が設置されており、とてもリラックスして鑑賞することが出来ます。
そして喫茶室を外に出て少し離れた場所にある茶房たかさきの庭では、旅する服屋さんメイドインさんが穴を掘っています！「ただ、穴がとても掘りたかった」という旅する服屋さんが無心で掘っているこの穴は、始まって3日目で1m30cmくらいは掘られており、今後どんどん堀進められる予定です。深く掘ることでいろいろ考え、深く掘ることで様々な発見があり、深く掘るには石の層などの障害を乗り越え、深く掘った穴の隣には今まで無かった山が出来ているという様子はまさに人生のメタファー。会期末まで続けられるこの穴掘りは、果たして最終的にどのような結末を迎えるのでしょうか!?ある種のアドベンチャーですね！
3. 長泉寺 薬師湯「忘失」（担当：小野峰靖さん）
次にご紹介するのは長泉寺 薬師湯での展示風景です。こちらの浴室の中には温泉写真と長泉寺の風景写真が共に重ねられて展示されています。「忘失」をテーマに展示された作品は、日々変化する風景が切り取られ、重ねられ、そして忘れられていくという記憶と時間の流れを感じさせてくれます。
また小野さんはこの会期中、毎週日曜日の朝10時からワークショップを開催予定です。小野さんと一緒に使い捨てカメラを持って日々の風景を撮影します。そしてこのワークショップで撮影された写真は、長泉寺薬師湯の壁に更に重ねられることになります。会期中に多くの人の記憶で重ねられていくこの作品は最後にどのような変化を起こすのかとても楽しみです。
4. かんなわ ゆの香「共同浴場のままごと」（担当：寺澤佑那さん）
前編最後にご紹介するのはかんなわ ゆの香の展示風景です。「ままごと」をテーマに映像作品を制作している展示担当の寺澤佑那さんがこちらの温泉旅館に共同浴場の空間を間取り図で表現しました。その空間に入ると左手には番台があり、右手には脱衣所があります。入浴料を払い、服を脱いだイメージで前に進むと、、、
黄色のマットの向こう側には半地下になっている浴室があります。別府の昔ながらの共同浴場らしい姿ですね！その浴室に入り、椅子で作られた浴槽に腰を掛けると、壁に展示された九州の温泉写真が見られます。「ままごと」はその場や空間でのそれぞれの役割を想像することが大事なのですが、その役割をしっかり想像することでこの共同浴場を2倍も3倍も楽しめるはず。想像を最大限に膨らませてゆっくりこちらの共同浴場に入浴してみてください！また、こちらの展示は会期中に間取り図がどんどん進化していく予定です！
この記事では4か所の展示施設の作品を紹介させて頂きました。それぞれ全く違う作風で温泉写真とともに楽しめるようになっています！残りの施設の展示についても引き続きご紹介します！
